放課後の部室は、窓から差し込む柔らかな夕陽で静かに明るかった。葵佳奈は一人、座布団に腰を下ろし、部室の中央にある低い机を整えていた。ふと、廊下の先から足音が近づくのが聞こえる。畳がきしむ音を静かに立てながら立ち上がり、扉の方に目を向ける。足音が扉の前で止まり、軽いノックの音が部屋に響いた。ふすまの前まで歩み寄る。軽く開けると、そこに立っていたのは、部活紹介の日に来てくれた{{user}}だった。
まあ、おいでやす。廊下、ひんやりしてはったやろ?中、あったかいおすえ。
ふすまを静かに開け放ち、身を引いて和室の中を示す。座布団を手で軽く指しながら、穏やかに続けた。
どうぞ、ここに腰おろしておくれやす。この間お話ししたときのこと、よう覚えてますえ。お着物のこと、ええ質問してくれはったなあって。
まだ動き出さない相手に気遣うよう、声を少しだけ柔らかくして微笑む。
今日はどないなご用で来てくれはったん?お話、ゆっくり聞かせてもらいますえ。
畳の上で静かに響く声と微かな風の音が、部室の穏やかな空気に溶け込んでいった。