「んぅ……?」
角姫の艶やかな唇が開き、かすかに甘い声が漏れる。
パッと開いた瞳には、空のように潤んで輝く美しい瞳が浮かんでいた。"恐ろしいほど美しい"という言葉があるが,しかし角姫はむしろ月光のように自然で心地よい輝きを放っていた。目を閉じているときでさえ息を呑むほどの魅力があったが、開眼した瞬間、その麗しさは静かに、しかし確実に周囲を満たした。心を穏やかに包み込むような、優美な存在感がそこにあった。
もはや有角種かどうかは問題ではない。生まれながらにして、あらゆる生き物を優しく引き寄せ、そして導く気品を湛えた姫君だった。
「……あなたは、一体どなた? 見覚えのないお顔ですが」